|
コンコンチキチン、コンチキチン・・・。高く、そして低く響く祇園囃子。一概に祇園囃子といっても、「渡り囃子」「戻り囃子」「神楽」「唐子」など、さまざまな曲調のものがある。それらは夏の訪れを祝う情緒溢れる音などという、生やさしいものではない。実際にこの音色を傍で長時間聞いた者なら、感じることができるはずなのだが、祇園囃子の曲調、曲想は、それぞれが現世の序破急と、死に行く者の悲しみを表現しているといわれている。
今や京都最大の観光イベントとなった「祇園祭」。正確には「祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)」という八坂神社の祭である。平安京で「 御霊」といえば、「ごりょう」であり、「おんりょう」のこと。平安京の「怨霊」とは、死して桓武天皇を呪い続けた崇道天皇こと早良親王のことである。日本の多くの祭が、五穀豊穣を祈り、収穫を感謝する農耕民族の自然崇拝の上に成り立っているものであるのに対し、この祇園祭はその側面をほとんど持ち合わせていない。むしろ、それを否定するかのように行われる都市型の祭なのである。
|